2007年 05月 29日
メディアの力 |
現職の閣僚が自殺した.戦後初めてのことだという.夜,帰宅していくつかのニュースを観る.どこだか忘れたが,何故か東京都知事にコメントを求めた局があった.彼曰く,「死を以て償おうとしたのだろう.侍だった」という主旨のコメントを残した(一字一句正確には記憶していないが).「侍」とはいかにも時代錯誤だが,「償う」という発想自体,死者が脱法行為・不法行為を犯していたという理解が前提になっている.あるいはそこまでいかなくとも,死者になんらかの責任(それも一人の人間の生死に関わる程度に大きな責任)があったという理解が少なくともある.しかし,そのようにどうして決め付けることができるのか.最後に,いつもは観ることもないフジテレビ系列のニュースを観た.そうしたら驚いたことに女性キャスターが,「死を以て闇に葬ろうとしたものは何か」と言っているではないか(これも一字一句正確ではないが).死者には「闇に葬」らねばならないことがあった,したがって死ななければならなかった,と早くも決め付けているにこれは等しい.どうして,何を根拠にこの女性キャスターは死者を罪人扱いできるのだろうか.もはや死者は,メディアによって犯罪者に等しい扱いを受けるに至っている.これはメディアの力,正しく言えば暴力に他ならない.考えてみれば,こういった決め付けは,前首相の常套手段でもあった.その前首相は,仮通夜に参列するというのに,明るい色彩のネクタイをして現れた.夜だから,カメラのライトで光ったのかもしれず,実際はもっと地味な色だったのかもしれないが,それにしても黒でないことだけは確かだった.
by s_sekio2
| 2007-05-29 00:44
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